それは必然の

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「嘉はさ、死んだらどうなると思う?」 「あ?んー…寝てるときみたいにずっとなってるみたいな…? 死ぬことなんか考えたくねぇけど。」 ゆうれい(仮)は目を細めて小さく笑った。 「なんか嘉らしいね。これ俺の体験談なんだけど。死んだ後、黄泉の世界に居たんだー。 しかも自分の体が見えないの。魂だけになってるってあんな感じなのかな。 どういう状況でとか、そういうのは全然覚えてないんだけど、俺死んだのかーってことは分かったんだよね。しかもなんか後悔しながら死んだってことは漠然とあって。 多分、黄泉にいた時までは死んだときのことを覚えてたんだと思う。 元の世界にもう一度行きたいって、すっごく願った。そしたら、自分の意識の中に声が聞こえたんだ。  …ー〈実界に返してやる。器を探せ。主を探せ。未練は、再び思い起こされる。〉 今でもどういうことだったのかは全くわかんないんだけどね。気付いたら、俺は小さい男の子の隣にいた。 もうわかったかな?ここで俺はイチになったんだ。 それからは、ぬいぐるみの姿で、ずっと嘉と一緒にいた。誰よりも嘉を知ってるよ。 そして、どういう訳かはこれまた全くわかんないんだけど… 今朝、初めて人間の姿に戻れたんだ。これが今俺がわかる全てだよ。」
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