それは必然の

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「こ…ここか…」 次の日、俺は新しい家の前に来ていた。 なんという高級マンション。家賃いくらするんだ… 完全に庶民さまな俺には敷居が高すぎだろこれ。 さすがに母もまだ高校生な息子に1人暮らしを強いるのは罪悪感があったのだろうか。 でもまあだからってこれは… ぎこちない動作でオートロックの玄関をぬけ、俺は自分の家となる部屋の前に来た。 がちゃり、と開けたドアはどこか重たく感じる。 俺は廊下を通り、リビングへのドアを開けた。 「…広すぎねぇかこれ」 俺の目に映った部屋は、明らかに1人暮らしには広すぎるものだった。 少なくとも、4人家族で余裕で住めるであろう大きさはある。 しかし、そこに置いてあるのは最低限の家具と、俺が送った段ボール箱だけだ。 あまりにしんと静まりかえっているので、ここの空間だけ世界から切り取られたような孤独感があった。 これから自分は1人でここに住むことになるのか。 今までだって、母親はいていないようなところに住んでいたのに、どうして今更寂しく思うんだ…まるで本当に独りになってしまったような。 やっぱり昨日のことが自分の中でくすぶっているのだろうか。あまり実感はないのだが。 実質自分は親に いらない と言われてここにいるようなものだ。 あぁやばい、じわりとまた目頭が熱くなる感じがした。
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