「月子」

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―――――――――――――― ― ― ――――― ― ―   待って  どうして―――  ガチャっとドアを開ける音がどこかから聞こえた気がする。  窓の外が明るい。  朝なんだろうか。  「月子さん!……待って」  僕は跳び起きた。  彼女は?  あれって夢?  辺りを見回す。  昨日とティッシュボックスの落ちている位置まで同じ、月子さんの部屋。  ソファの足元で猫が大きな口を開けて欠伸をしている。  「ねえ、たま。月子さんは?」    確かにここで話していたと思うのに、なにかもうあやふやで自信がなくなる。  さっきドアの音がしたよな。  立ち上がり玄関に行ってドアを開けて外を見渡す。  早朝のしんとした空気に鳥の声が響き渡る。  隣の部屋のドアが急に開いて中から血相を変えた母が顔を出した。   「蒼馬!やっぱり希子ちゃんの所だったんだ―もう!  何でもいいからこっち戻って来て!  話があるから。」  僕の足元から猫も顔を出している。  「たま、うちに戻ろう。」  母は月子さんのことを何か知っているんだろうか。
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