「月子」

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 「昨日救急車で搬送されて来たのは希子ちゃんだったの―」  何を言ってるんだよ。  昨日、月子さんと彼女の部屋にいたんだよ。  そんな訳ないだろ。  「意識を失ったまま、そのまま亡くなったの。」  「なに?それ。    どうかしてる、そんな嘘ついてどうすんの…。」  いつもの食卓に向かい合って座り、母が用意した朝ごはんを食べていた。    なかなか呑み込めない味のしないご飯に目玉焼きをやっとこ口に運ぶ。  「希子ちゃんと一緒にいた恋人が、  『あいつが殺してくれって頼むんだよ…でもまさかホントに死んだりしないよな?』って、かなり取り乱していて。  外傷もあるから警察に通報したけど…死因は複合的で命とりになったのが何か、これから…」  司法解剖に回されたとか、篤史ってホストも警察の取り調べに連れて行かれたとか、母の話が上滑りして行く。  プレイ中にやり過ぎて…なんて息子に言えるはず無いもんな…。  本当に死んじゃったの?  そうだよ、昨日何度も彼女は『望みが叶った』って言ったんだ。  動転していて、ただ痛めつけられたんだ位しか考えなかった。  だって、目の前にいたんだから…『殺してもらえた』なんて…。  「ねえ、母さん霊って信じる?」  「何?急に…」  急須にお茶を淹れている母がびっくりして僕を見る。
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