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「んー、そこから喧嘩になって日頃の不満をお互いぶつけ合って―チャンチャン?」
「はあ――彼より猫を選んだんだ―
今から里親探したら元サヤにならないの?」
「里親になってくれるの!?」
「え?ちょっと待って、もしかして最初からそう言う魂胆で見せたいものって言った訳?!」
「やだ!魂胆って。
それはさ、私がお店に出る時とか、預かってくれるといいなーとは思ったけど…
うん、篤史がうちに来る時とか預かってくれるだけでも何とかなるかも!」
「待って待って!
こっちの都合まるで無視って酷くない?
俺だっていつも家にいる分けじゃないし、母親に食べさせてもらってる立場上勝手な事はできないから。」
「へー殊勝な事言うんだね、食べさせてもらってるって…実の親でしょ?
そっくりだもん顔。」
あー、面倒くさい話になって来た。
「そうそう、殊勝なんです。
足手まといの子供なもんで。
猫はもういいですか。
じゃあ後は勝手にどうぞ。」
「え!ちょっと待って!待っててば!」
さっさとベランダに戻ろうとする僕の腕をおねーさんが追い縋って捕まえる。
「何でそんなこと、言うの?
君のお母さん、楽しみにしてたよ!
『息子と暮らせるようになった』って!」
振り返った僕はまじまじと彼女の顔を見た。
ありえないでしょ。
「嘘じゃ無いって!
お母さんとゆっくり話してみなよ。
あの人、きっと照れやで面と向かって言えないだけだって!」
あの母が?いや無い。
彼女がそう思ったとしたら、会話の流れで一般的な反応をしておいた、とかそう言うことだろ。
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