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「お願い、このままじゃ私の大切な人が死んでしまうの!!」
いつからだっけ?
私が『Shadow』と呼ばれるようになったのは。
人が出来ないような事をする力が、私にはあった。
それは、人の心を読むという事。
その人に流れる空気を読む、といった方が正しいのかもしれない。
もちろん私は超能力者じゃないから、一語一句違えずに相手の考えてる事を読み取る事は不可能だけど、感じる事には抜きん出ていた。
そう、たとえば、この少女が本当は嘘をついているという事など……
「…残念だけど、他を当たって。私には興味ないから」
ハリウッド女優並にボロボロと涙を零してはいるものの、私の心には響かない。
あらかた都市伝説となった私の存在を確認しに来たのだろう。
…もっとも、返答してしまってる私は、肯定してしまったようなものだけど。
「…チッ。アタシの演技力もまだまだ甘いって事? いい気になってんじゃねーよ!!」
…やっぱり。
姿を見せない私の存在が怖くないのか、少女は鼻息荒く踵を返していった。
……で、もう一つの気になる存在が飽きもせず数時間息を潜めている。
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