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カッと目を見開いて、俺より10cm程高い位置にある圭介の顔を下から見上げる。
「なぜ演技だと!」
「お前の嘘はこの3ヶ月間で見抜けるようになった」
「くっ」
くやしさに、顔をそらして下唇をかむ。が、次の瞬間にはまた圭介の顔を覗き込んだ。
「けけけけ圭介殿!」
「なに」
「あちらに爽やかイケメンと小悪魔美少年のコンビがっ」
「あぁ、5組の田中と3組の向井な」
「さっきやったほっぺのぷーも、平凡の俺がやったらクソくらえだけど向井君がやったら圭介も興奮するよねはぁはぁ!」
「しないから落ち着け」
何やら楽しそうに喋りながら歩いてくる二人を、立ち止まって息を荒くしながら見ていたが、
「…じゃない!食堂行かなきゃ昼抜きになっちゃう」
「やっと戻ってきた。おかえり、現実へ」
「うん、ただいま……って、その嫌な挨拶やめろや」
途中で最初の目的を思い出す。
お昼食べるために、食堂に、向かってたんだった。
またしてもくだらないやり取りをしながら、俺たちは目的地へと足を進めた。
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