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当たり前だが、耳の近くから低めの声が聞こえてくる。
「オムライスってさ、」
「おう」
「食べ過ぎたら、眼球が黄色く変色するらしいぞ」
その言葉にハッと息を飲み、手元のオムライスを凝視する。
「ううう嘘?!」
「うん、嘘」
「嘘なんかい!」
普通に信じそうになったわ。てか普通に信じそうになった俺どうよ。馬鹿なのか。や、馬鹿だけど。
つか、無駄に芝居が細かいな。何なの。圭介恐るべし。
嘘だとは理解しつつも、なんとなく左目を手のひらで軽くおさえる。
そんな俺の様子を見た圭介は、運んでいたスプーンを止め、鼻で笑いやがった後に、ゆっくりと口を開いた。
「どうした?」
「や、別に…」
「左目に封印した力が解放されそうなのか?」
「ちょっと待って。なんで俺、厨二設定になってんの」
「左目がうずくーってのれよ」
「のらないよ!のるわけないよ!」
「チッ」
「ちょww舌打ちやめwww」
左目にあてていた手を離し、かわりにスプーンを掴みながら軽く圭介を睨みつける。
睨み続ける俺をがっつり無視し、黙々とハヤシライスを口へと運んでいく圭介。
ツラい。無視はツラいよ。
反応してくれる様子が全く見られない圭介を横目に、小さく溜め息をついてから、俺自身もオムライスを食べ始めたのだった。
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