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狭いアパートでうなだれる四十男。
パソコンには自作のホームページが映っていた。
「今日も『餌』なし…。」
もう半年は『捕食』していない。
もぐらの我慢は限界近かった。
「やばいな…通り魔にでもなってしまいそうだ…。」
既に犯罪者なのだが、もぐらの中では無差別に危害を加えるような存在と自分とは一線を引いていた。
もぐらは、『餌』が気に入らないと『飼育員』に断る事もある。
結果的に、客を選ぶプロは仕事の件数が一時期よりどんどん減っていった事になる。
それでも、その腕を買われていたので、ごくまれにだが大物政治家や、警察の幹部、はては裏の組織のボスまでが『飼育員』だったこともあった。
それらの『飼育員』はもぐらの『好み』を大体把握しているため、もぐらが『捕食』しそうで、厄介な『餌』を持ち込んでくる。
報酬も破格だった。
当のもぐらは報酬の多寡自体は気にしていないが。
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