第1話

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 外宇宙への進出は太陽系を外側から覆うヘリオポーズウォール(太陽圏境界面壁)で阻まれた。それが確認され、ヘリオポーズ(太陽圏境界面)に多くのステーションの開発が進められた。  だが、ある日、壁を越えて侵略者が遣って来た。その形状は不定形にして恣意的。人の意思を反映し、原初的な恐怖を与えるものだった。それは戦争の始まりとなった。  ある少女が戦争に巻き込まれ、家族を失った。復讐を誓った。既に戦争はある程度のシステマチックな徴兵や兵器の開発も形になりつつあった。少女は戦争孤児として士官学校に入る。  少女は社交性や協調性に問題はあったものの、学力も技術もずば抜けていた。ただ、性格などに難があった為、万年三位に止まっていた。一位は全てにおいてトップクラスの少年、二位は技術的な面では劣るものの、協調性が極めて高い少女である。  戦線は遂に居住圏外最終防衛線でもあるエッジワース・カイパーベルトを越えてきた。戦火は大きくなり、卒業試験を待つ仕官候補生も戦場へと赴く事になる。後方支援がメインだった為、士官候補生に死者は出なかった。  卒業試験、新兵器の起動実験も兼ねた模擬戦闘が行われる。試験とは名ばかりの演目だったが、万年三位の少女だけが卒業を保留となる。どうやら新型兵器に利用された生体素子にアレルギーに似た反応が出るようだ。  戦争は過激化する。少女は生体部品を使う次世代兵器との相性が悉く悪く、兵士にはなれなかった。況してや技術職にもなれず、不貞腐れている少女の下にある研究所が声を掛ける。  少女にとある実験を申し込む。身体の機械化、及び第四世代兵器との融合など人道から外れるも、戦士になれる研究である。少女はこれを受け入れ、身体の一部を機械化し、戦線へ赴いた。  少女の戦果は素晴らしいものだった。研究所への支援・予算も増え、同様の戦士も増えていたが、少女はその先導者であり、また研究の最先端の実験体でもあった。  戦争はこう着状態になっていたものの、戦線はヘリオポーズウォールまで戻っていた。遂に風穴を開けられるかと思われた矢先、今まで観測された事のない、侵略者の母艦(そのような発着・分離・展開が見られるだけ)が現れる。
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