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なお、この話は前にも聞かされている。
イズミは黙って同じ話を聞いた。
「15年間ずっと同じ生活だったのに、最近は連絡なく帰りが遅い日があるようになりました」
「仕事じゃないですか?」
「私が珍しいですねと言うと、『ちょっと』と言うだけです。仕事なら堂々と言うはずです」
「教えないんですか?」
「そうです。夫の仕事は自分のペースで進める研究職なので自分で出勤を決められます。人付き合いも得意でなく、急な飲み会とか人と会うことがありません。その夫が連絡もなく何時間も遅くなるなんてありえないんです。もしかしたら女がいるんじゃないかと思っています」
「夕食は食べてきますか? アルコールは入っていましたか?」
「いえ。食べていないといって普通に全部食べました。お酒も飲んでいませんでした」
イズミがあえて同じ質問をしたこともあるが、最初から最後まで前回と全く同じ問答だった。
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