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その日の夜はお祭り騒ぎのような晩御飯だった。
久しぶりに家族が集まったということで、祖父たちは寿司を出前にとり、他のおかずを自分たちの畑で取れた野菜で作った天ぷら等がテーブルいっぱいに並べられていた。
「はぁぁ・・・・・おいしかったぁ。」
ハルカはそういって満腹になった自分のお腹をさすった。
「お風呂、もうすぐで沸くから、入る用意しときなよー。」
母は台所で食器を洗いながらそういっている。
「はぁい!」
ハルカは元気よく返事をした。
ナツミは食べ終わった食器を黙々と台所へ運んでいる。
父と祖父は二人で晩酌をしているようで話が弾んでいた。
ナツミが食器を台所へ運ぶと、祖母が目を細めながら言った。
「なっちゃんはよく手伝ってくれるねぇ。」
ナツミが「えへへ・・・。」と笑うと、母が自慢げに続けた。
「ナツミは気が利くのよねー。いつも助かっているわ。ハルカのお世話もナツミがしてくれるし、私はすっごく楽なの。」
母がそういうと、祖母はしわくちゃな顔をもっとしわくちゃにして微笑んだ。
「ここの生活はきっと、なっちゃんの家での生活より大変かもしれないけどがんばってねぇ。」
「うん!大丈夫。任せて。」
ナツミはそういって握りこぶしを作った。
「ふふふ。頼りになるわぁ。」
祖母はそういって、食器洗いを続けた。
-----・・・・・・
片付けも終わり、ひと段落ついたあと、ナツミはハルカと一緒にお風呂に入っていた。
お風呂もナツミの家のとは全く違い、木で作った深い桶のようなお風呂だった。
足を伸ばすことはできず、少し足をまげて体育座りのような大勢で湯船に使っていた。
「ナツー!ここのお風呂すごいねーっ」
ハルカはそういいながら湯船に浮かぶアヒルのおもちゃで遊んでいる。
「そうだねー。うちとは全然違うね。」
ナツミもそういってアヒルをつついた。
「・・・そろそろあがろうか?」
「うんっ。」
二人はそういって同時に立ち上がった。
「うわぁ!!」
しかし、思ったよりも風呂は狭く、二人はぶつかり合い、ナツミとハルカは再び湯船に潜った。
「・・・・・・・・ぷっ。」
ナツミは鼻に水が入ってむせているハルカを見て笑った。
「はははっ!あははっ、ごめんハルカ。」
ナツミはむせるハルカの背中をさするのであった。
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