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夏休みに入り、ナツミ達は佐野のおばあちゃんちの家に向かって、車で移動していた。
「・・・ねぇ、ママ?まだつかないの?」
ハルカは後部座席で外の景色を見ながらそういった。
「もう少しでつくわよー。」
母はそういってあくびをした。
「はぁ・・・・。」
ハルカはため息をひとつついて、おとなしくなった。
・・・・ナツミもずっと窓の向こう側の景色を見つめていたが、そろそろそれにも飽きてきそうだ。
最初のほうは、山の中に入ったりして野生の動物がお目にかかれたりしたものだが、村らしき周辺に来ると、あたり一面畑ばかり。
平たい家がポツポツと建っており、コンビニやファミレスなどひとつも見当たらない。
「・・・ほらっ、あそこに見えるデッカイ家がおばあちゃん家だよ!」
母はそういって指をさした。ハルカは「どこどこー?」と言って身を乗り出している。
ナツミも隙間から顔を出すと、少し先に、今まで見たどこの家よりも大きい平屋が目に入った。
「・・・・大きい・・・・!」
ナツミはそうつぶやいた。
驚きのあまり、口があんぐりと開いていた。
-----・・・・・・
「いっらしゃーい!!!」
たくさんの荷物を持って、家に上がると、祖父と祖母が出迎えてくれた。
「久しいなあ!いやぁ、久しい!!」
祖父はそういってニコニコと笑っている。
どう見ても60歳には見えない元気さだ。
「わざわざ遠いとこからご苦労だったねぇ。ほら、荷物こっちに置きなさいな。」
手をこすり合わせながら笑顔で祖母はそういって、手招きをした。
「あらー、なっちゃん、久しぶりだねぇ!」
祖母はそういってナツミの頭に手を置いた。
「久しぶりだね。」
ナツミがそういうと、祖母は「大きくなったねぇ。」と微笑み、ハルカのほうへ歩んでいった。
「ハルカも大きくなったねぇ。何歳だい?」
「六歳だよーっ!!」
ハルカはそういって、ニコニコと笑った。
「荷物置いたら、茶の間に来なさいな。冷たい麦茶と、クッキー用意してあるから!」
祖母はそういってにこっと笑った。
「やったぁ!!」
ハルカはクッキーがあると聞いて、喜んでいる。
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