夏休みの始まり

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ナツミは荷物を用意された部屋に置くと、目をしたにやった。 「畳だ・・・・・・。」 ナツミの家には、畳がある部屋はひとつしかない。 なんだか不思議な感じだった。 ナツミは畳をなでた後、あたりを見回した。 真新しい障子、紐がたれた天井の電気、しみのついたざらざらした壁。 何もかもが自分の家と違って、ナツミは眼を輝かせた。 「お母さん。」 ナツミは母の服のすそをつまみながらそういった。 「なぁに?」 「・・・・・この家、すごいね。私たちの家とまるで違う・・・。」 ナツミがそういうと、母は「そうね。」といって続けた。 「これが、和風よ。日本独特の家よ。ここら辺の家は全部は和風よ。 ・・・・・・・ほら、荷物整理したら茶の間に行きなさい。廊下を出て右に曲がってまっすぐ行ったら左側にあるから。」 ナツミは静かに立ち上がって、廊下に出た。 静かに足を下ろし、床を踏みしめた。 歩くたびにギシギシと小さな音が鳴る。 ナツミは無言で、しかし笑顔でまっすぐ続く廊下をゆっくりと歩いた。 「なっちゃん、何してるの?」 台所から、お菓子を運んできた祖母が不思議そうにナツミを見る。 「面白いね!この家!!」 ナツミはそういってニコニコと笑った。 祖母は不思議そうに首をかしげながらも、「そうかい?」といってクスクスと笑った。 ナツミは「うん!!」と言って、茶の間に向かった。 「美味しいーっ!」 茶の間に着くとすでにハルカがクッキーをほおばっていた。 「あっ、ナツ!このクッキー美味しいよ!!早くおいでよ!」 ハルカはそういって手招きをした。 ナツミは「うん!」と言って、テーブルの前に座った。 「いただきまーすっ!」 ナツミはそういって、クッキーをほおばった。 「どうだ?うめぇか?」 祖父はそうナツミに問いかけた。 ナツミは笑顔でうなずき、麦茶を飲み干した。 「おぉぉお、いい飲みっぷりやのぉ!!」 祖父はそういって、がははと笑った。 ナツミはなんだか照れくさくなって頬を赤らめた。
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