照らす光は誰が為に

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「そうか……」 「そんな辛そうな顔しないでよ、ふねじいさん。私は今、ハッピーよ?」  そう言って笑うと、ふねじいさんは静かに笑みを作る。彼の笑顔に満足した私の頭に、ふと浮かぶ疑問……。何かを忘れているような……。 「あぁあああ!?」 「おや、どうしたんじゃ?」 「やっば、忘れてた! ふねじいさん、ごめん! 私行くわ!?」 「ん?」 「妹達に怒られる!!!」  重要な事を思い出した私は、踵を返して急発進。待ち合わせ場所の高台に向かって猛ダッシュを掛けた。  そんな私の背中に、ふねじいさんの静かな呟きが届いた気がした。 「愛、じゃな……ほっほっほっ」
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