消えたふなきちくん

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『お陰で、誰も僕と口を利いてくれない……マイちゃんやミーちゃん、みちびきちゃんも……』  どうしようもない孤独感に襲われる僕を、いつの間にか背後に回り込んだあかりさんが、心配そうに声を上げて抱き締める。 「すなおさん……大丈夫ですか? 悩みがあるなら、わたくしに全部ぶつけて下さって良いんですよ?」  漂う甘ったるい匂いと、柔らかな感触。乾いた心に染み込んでくる、思わず依存してしまいたくなる様な彼女を、僕は乱暴に振り払った。 「離してくれ!」 「きゃっ!? ふふっ……かーわいい……」 「僕に構わないでよ!」 「……約束」  怒れる僕を強制的に沈めるのは、決まってその言葉だ。黒い笑みを浮かべる彼女の言葉に、僕は縛られている。  僕は最早、彼女の飼い犬だ……。
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