照らす光は誰が為に

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「さて」 「後は……」 「「「遅刻常習犯を待つばかりだね」」」  声を揃えた私達は、並んで高台の先端へと足を運ぶ。青い空、白い雲……そして、何処までも穏やかな海。光がその水面を照らし、何処までも続く宝石箱へと変えた。 「「それじゃあ先生、お願いします!」」 「うむうむ、任せたまえ」  わざとらしく大きく頷いた私は、片手を空に向かって高らかに伸ばす。微かに発光を始める手。こんな日の高い時間では、尚更目立たぬその光……しかし。 「たっだいまぁー!? 遅れてごめんなさーい!」 「「おぉ、帰ってきた! 流石は先生!」」 「うむうむ」  再度の大袈裟な頷きに双子は吹き出し、私も釣られて吹き出した。  自分でも分かるほど優しく緩んだ瞳で、海を駆る船を、愛しい旦那の姿を捉える。  たった一つの船の為だけに光を照らす、灯台失格の私。ちょっとポンコツな所があるすなお。ダメ同士、大分お似合いなんじゃないかな、なんて思ってしまう今日この頃……私も大分のろけてらっしゃる。 「でもまぁ、良いじゃない……ここはハッピー島なんだし、ね?」 「「お姉ちゃん、どうかした?」」 「ううん、何でもない」  ハッピー島には、今日もハッピーが溢れていた……。 (完)
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