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「はははっ、バカだよなー、ふなきちの奴」
「テメェみてぇな嘘つきの言葉、誰が信じるかっての、なぁ?」
そんな折、漁から帰ってきたらしい若い船達の談笑が聞こえてくる。何と無しに視線を向けると、目があった。気まずそうに視線を逸らして席につき、会話を再開する若い船達。心なしか、トーンが落ちている。
「ハッピーフィッシュの居所が分かったなんて……」
「どうせ嘘っぱちさ……」
「今更頑張ったって、何にもなりゃしねぇ……誰かさんと違って……」
彼らの端々に潜む不安や諦め……そして、僕に対する少なくない嫉妬……そんな空気が嫌になって、ため息と共に食事処を後にした。
「待って、すなおさん」
「ついてこないで、一人になりたいんだ」
結局、食事は殆ど手が付けられなかった……。
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