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「…状況報告を頼む。」
───ここは国の戦力の
「はっ。遠くからの目視でしたが、間違いないかと…。
伝承通りだと思われます。」
───頂点に立つ者たちの
「…そうか。ついに、来たか…。ありがとう、下がれ。」
───とある会議室
伝達係が退出する。
「…また、闇の年がやってくるのかよっ…」
重い空気の中、一番扉に近い椅子に座っていた男が悔しそうに発言した。
その気持ちの強さは、緋色の狐の面越しであるにもかかわらず、聞こえたギリッと歯を食いしばる音より明らかだろう。
「……今に始まったことではないだろう、緋色の。我々はこの期のために色々と準備してきたではないか。」
「…そうです。それに伝承によれば恐らく…」
緋色の反対側に座る、漆黒の狐の面と碧色の狐の面をつけた人物が続けて発言する。
「…そうですね。最悪の場合、 ア レ に頼らなくてはならなくなるかもしてません。」
「…王よ、我らの戦力ではもって後半年です。それまでにどうにかしなくては…っ。」
また別の席に座る純白色と琥珀色の狐の面をつけた人物が発言した。
純白の言った、 ア レ という言葉で 室内の空気が一気に重くなる。
──ダンッバキッ
緋色のは手のひらに爪が食い込み血が滴るほど強く握りしめていた。
「…緋色の。また、感情的になって…。」
「 ア レ を使うことはぜってぇ許さねぇ!もう…あんな、思いはっ…」
「すまない、緋色の。我々だけでは無理だ。どうしてもアレを、あの力が必要なんだ…。」
──ガタッ
緋色のは椅子から立ち上がると、
─バンッ
乱暴に扉を閉めて部屋から出ていった。
「……では、今回の会議は以上だ。全員、持ち場に戻れ。」
「「「「はっ!」」」」
会議室から全員がでた後、王ひとりが部屋に残っていた。
「……また、ツカウのか……。」
窓から城下町を見下ろし、そう、ぼそりと呟いた。
その言葉は、冬の冷たい風に消えていった。
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