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「せ、先輩っ!」
私の名前を呼んだのは、私が中学のとき同じ美術部だった篠宮智也先輩。
「どうしたの?
こんなに朝早くに?」
先輩はニコニコ笑顔で聞いてくる。
「あ、部室の掃除、しようと思って。
先輩はどうしたんですか?」
私もつられてニコニコしてしまう。
「実は、おれも掃除なんだ。
顧問に呼び出しくらってさ。
掃除のあと、朝練」
彼は高校に入ってバスケ部に入ってしまった。
先輩は絵がすごい上手かったのに、私は先輩の絵がすごい好きだったのに。
先輩が伸びをしながら言う。
「そんじゃ、おれ、そろそろ行くわ!
お互い掃除頑張ろうな!」
先輩は手を振りながら体育館へ行ってしまった。
…私は、たぶん。
先輩のことが好きなんだと思う。
先輩を見るとカッコいいなって思うし。
先輩に見つめられるとドキドキするし。
でも、私は、絶対絶対絶対自分が先輩のことを好きだなんて認めない。
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