12 二人の時

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有紗「元春」 一人、雑誌をめくりながら、コーヒーを飲む姿を見つけ、名前を呼んだ。 元春の視線が私に移動すると、笑顔を見せる。 私の大好きな優しい笑顔、この笑顔をこれから、数日は独り占め出来ることは本当に嬉しかった。 その日のために、忙しい間を縫って、美容室やエステにも行った。 元春「お疲れ様。仕事で疲れてるだろ、何か食べてから、帰ろう。」 二人で、パスタとサラダ、スープを注文した。 元春の長くて細い指先がクルクルとフォークを回す…。 どこをとっても、元春は綺麗な…という表現がついてくる。 さっきから、横に座っている女の子達が、元春をチラチラ見ながら話している。 元春にとっては、何時ものことなのだろう、全く気にすることはない…。 彼女達には、私は姉、上司位にしか見えないだろうなぁ。。。 先に食事を終えた元春は、窓の外に視線を移し、「明日からは、雪景色が青空に変わるなんて、何だか信じられないよなぁ~」と、思いは沖縄に飛んでいるようだった。 私が食べ終わるのを待ち、「有紗の家で、ゆっくりしたいな」と、すぐに店をでた。
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