20 新入社員

10/13
前へ
/35ページ
次へ
元春は、「よろしくお願いいたします」と頭を下げて私の後に続いた。 ミーティングルームに入り、向かい合った。 心臓が痛いほどに、跳ねていた。 スーツを着て、少し髪を切った元春は、私といた頃より、若く見えた。 私「元春…。まさか、こんな形で会うなんてね。」とため息をついた。 元春「また、会えて嬉しいよ。」と眩し過ぎる笑顔を見せた。 私「私達は、今日、初めてあった。私は、あなたを知らない。あなたも私を知らない。」と、笑って見せた。 元春「わかってるよ。」 私「じゃあ、仕事をはじめましょう。」 元春「あの、俺はなんて呼んだら良いの?」 私「橋本さんでいいよ。私は、稲葉君って呼ばせて貰うわ。」 元春「わかりました。橋本さん」 元春の口から橋本さんと呼ばれること、否応なしに、私は彼よりも年上であることを自覚させらる。 だから、別れたのに…。 元春に彼女が出来たりするのを、上司として見守らなきゃならないのかな?
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加