第1話

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後日、会社からの謝罪と真実を明らかにした報告を携えて、会社の上役たちが香織を訪ねたがマンションはもう引き払われていた。 実家にまで電話がかかって来たが、香織からの報告を受けていなかった両親は、本人の意思を尊重するという形で謝罪を受けなかった。 「ごめんね、迷惑かけて」 数日後、実家に顔を出し事の顛末を聞かれた香織は、両親にすべてを話した。 「お前は悪くない」 父親はそう言っただけで席をたった。 母親はにっこり笑顔を見せて「美味しい物作るから食べて行きなさい」と言って香織の好物ばかりを作ってくれた。 次の日、香織は爽やかな笑顔で実家を後にした。 「ありがとう」 と言う言葉を添えて。
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