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それから何杯飲んだのだろう。
もう、覚えていられないほどにお互い交互に飲み合って、香織はぼんやりと皇を見つめた。
その視線に気づいた皇が、接客中のマスターをチラリと見て、香織に近づいた。
「他行くか。あれがうるさく言わないうちに」
香織はぼんやりとマスターを見ると、皇を見てこくりと頷いた。
マスターの隙をついて店を出た2人は、プラプラと通りを歩いていた。
夜風が気持ち良くて、香織は大きく深呼吸した。
少し酔ったみたいだと、その時始めて気がついた。
酔うまで飲んだのは、大学生以来だ。
なんだか楽しくなって、香織はクスクスと笑った。
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