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ダークブラックの襟足まで少し長めの髪に、何色にも染まらない深い闇のような漆黒の瞳。そして、溢れる強大な力。美しすぎるその美貌も含めこれら全て、魔王ルシファーである。
「……天界に動きが?」
「はい。ついこないだ、東方の王、バアル殿から使い魔が参りまして…。天使の軍団からの奇襲があったそうです。まあ、何事もなく返り討ちにしたそうですが。」
「……そうか……」
食事を始めたルシファーに、メフィストが思い出したかのようにそう告げる。
ミカエル…の仕業だな。まだ俺を連れ帰ろうとしているのか…。
「あ、それと。お食事が終わったらハデス殿が自分のところに来るよう仰ってましたよ。」
「……ハデスが?」
その名前を聞いた瞬間、すんごい嫌な顔をしたルシファー。
「明らかにそんな嫌悪感丸出しにしなくても……」
「……嫌いになるに決まってる。ハデスはオリンポス十二神には数えられてないが、歴とした偉大な神だ。…今は冥界の管理をしてる非道な男だが……俺が嫌う神の一人なんだぞ……」
それにあの男が、どうしてか堕天して魔王となった俺に構ってくる。もう関わりはないと思っていたのだがな……。
どうして魔界に来てまでこんな思いを…。天界では常にミカエルと居たし。それに俺はあまり口数が多い方じゃない。
「……後でサラマンダーを呼んでおけ。」
「御意」
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