第1章

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「フン……何がしたい、か…。今は言わないでおくとしよう。」 「何…?」 「まあいいから座れ、『ルシフェル』」 「その名はやめろ。捨てた名前だ。」 「ふっ…そうか。すっかり天界に未練はないようだな。」 「当然だ。俺は望んで天界を去った。未練などあるか。」 そう言い切るルシファーを、面白い玩具でも見るかのような目で見つめるハデス。 「そのお高いプライドも相変わらずか…。少しは何か変わってると思ったがな。」 「……ご期待に添えずすまんな…」 思ってもないことを口にし更に機嫌が悪くなる一方のルシファー。 「それで、わざわざ俺を呼んだわけは何だ。」 「ん?ああ…。ただ顔が見たかっただけだ。」 「何だと…?」 「というのは本当だが別の事もある。……今天界はゼウスの予知の元…ある男を探してる。それも血眼にな。」 「ある男……?」 ルシファーが怪訝そうな顔をすると、可笑しく笑うハデス。 「ルシファー。お前はどうして堕とされたと思う?」 「……何故だ」 「…分からないか。ま、そうだな。真相も知らないんだろう。」 「……知ってどうする。」 「知りたくないのか?」 「………知っていたと思っていた男はとうの昔に死んだ。だからもう真相だのなんだのいい。」 「……知っていたと思っていた男……ソロモンだな。」 ハデスのニヤリという顔に不服を感じながらも、静かに頷くルシファー。軽く睨みつけている。 「…だが、もしソロモンが生きていたとしたら…?」 「何を馬鹿なことを言っている。ソロモンとて人の子だ。あの時確かに死んだ。……甦るとでも言うのか?」 「違う。それは無い。だが…もしの話だ。」 ハデスの言い方が妙に引っかかる。何を言いたいのかこの男は……。 .
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