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「あの… 新田くん?」 「俺の事、好きなの?」 「…うん」 「そう。 じゃあ、俺と付き合う?」 「…えっ…」 玲のそんな言葉に宇佐美 藍は暫くびっくりした顔をしていたが、ギュッと抱きつくとコクッと頷いたのだった。 「斉藤くん、おはようございます。 昨日はよく眠れましたか?」 「…まあ、それなりにな」 「そうですか… 私はそのあまり寝れなくて寝不足気味ですね」 「また、何か作ったんだ? 要らないっていつも…」 「い、イエ。 今日はその…」 「…?」 「えっと、これ受け取ってください!」 「だから、君からは受け取らないって言ってるから…」 「…でも、食べてください」 「…要らない。 食べたくないから」 「何でですか?! 他の女子からは普通に受け取ってますよね? 何で私だけに意地悪言うの…」 真昼がシュンと落ち込んだ顔をすると、陽生ははぁーっと溜め息を吐いてこう告げる。 「じゃあ、バレンタインにチョコ作ってよ? それなら貰ってもいいよ」 「…えっ…」 「嫌なら別にずっと断るけどね?」 陽生が悪戯っ子のようにそう告げてフッと微笑んでいると、真昼は嬉しいのか顔を赤らめていた。 「…絶対作ります! でも、そのこれ」 「何?」 「…チーズケーキなんですけど、食べて貰えませんか? 誰かにあげても良いですから」 「…じゃあ、一緒に食べるか?」 「えっと、それは…」 「昼、生徒会室に来て」 「は、はい?」 「嫌? それなら、食べてやんない」 「い、イエ! 絶対窺います」 「なら、約束な」 陽生が珍しく優しい笑みを浮かべる為、真昼はその表情にメロメロになってしまう。 「…授業全部受けないと約束取り消すけどな」 「だ、駄目! 絶対受けますから!」 「なら、早く教室行くよ」 陽生が妖しい笑みを浮かべて腕時計を指差すと、授業開始の5分前だった。 「斉藤くん、あの…」 「ん? どうしたの、星空」 「あ、ありがとうございます」 「…何に対してのお礼言ってる?」 「お昼に誘って頂いたので、そのお礼です」 「ふぅん? まあ、いいけど急ぐよ」 「は、はいっ」 真昼が元気よく返事を返すと、陽生はフッと微笑み先に教室へと入った。 のだが…。
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