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「よし、とりあえず簡単に打ち合わせよか。そんで、音合わせしようや」
セイタの一言で、全員我に返った。
俺たちは、ハルクのライブ終盤に乱入、3曲歌わせてもらえることになった。3曲とも、半年前まではライブで必ず演奏していた曲だ。
「コウジ~、ちゃんと覚えとるか?」
「アホ、何千回歌った思うとるん」
セイタに言い返したものの、やっぱり少し不安だ。
歌詞も譜面も頭に残っている。死ぬまで覚えている気がするくらい、はっきりと。
……けれど、指はちゃんと動くだろうか。
前みたいに。
表情に出したつもりはなかったが、俺の不安を読み取ったのか、セイタが俺の肩を叩いた。
「ま、本番、お前がミスっても俺らの神テクでごまかすから安心しろ」
ヒサはにやにや笑っている。
タローは無表情だけど。
……こいつらとなら、大丈夫だ。
俺は何回か頷いたあと、ギターケースからギターを取り出した。
「とりあえず、やろうや」
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