第5話 輪島浩二編②

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 悔いのないようにやりきりたい。  そうしたら。  もう、いい加減、踏ん切りをつけないと。 「……っくしゅんっ」  ああ、寒っ。  暖房も入れないで、パンツ一丁で俺は何やってんだ。  とにかく明日のライブに集中しよう。話はそれからだ。今はシャワーを浴びないと、寒くてやっていられない。  俺はなるべく股間を見ないようにしながら、浴室に入った。 ◇◇◇◇  午後、ギターケースを担いで、タローの後輩が組んでいるバンドがリハーサルを行っているスタジオに向かった。  久しぶりに大阪まで出るな。  俺がスタジオに着いたときには、タロー、セイタ、ヒサの3人は後輩のバンドメンバーと談笑していた。 「おー、コウジ、社長出勤じゃ」  セイタが笑いながら片手を振った。  ドラムのそばに集まっている、後輩バンドのメンバー4人は俺を見て会釈をした。 「コウジ、こいつが俺の後輩」
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