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タローが肩を叩いたのは、明るめの茶髪にぱっちりとした目をした男だった。ずい分肌が白く、ピンク色の唇は艶々している。
「こんにちは、ハルクです」
ハルクはにっこりと笑ってみせた。
「やけに可愛いな」
思ったことをそのまま声にすると、タローは無表情のまま言った。
「ライブはこいつ、鬼畜やで」
「へえ」
ハルクは頬を赤くしてうつむいた。
「今回、急に飛び入りさせてもらうことになって、ごめんな。ほんまにありがとう」
俺がそう言うと、ハルクは顔を上げて両手を振った。
「いえっ、そんな、全然気にせんとってください! 俺、コウジさんのファンやったから、めっちゃ嬉しいんです」
「マジか、そりゃどうも」
「待て待て、こいつ今、ファンやったって過去形で言ったで」
「ほんまや」
ヒサとタローに突っ込まれ、ハルクはますます顔を赤らめた。
「あははっ、ほんまに鬼畜なんか? ライブ楽しみじゃ」
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