第7話

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花菜も思わず身を乗り出す。 男子の品評は、やはり盛り上がるものだ。 「あった!」 早智の言葉に、ふたりともケータイの画面に見いる。 「……うん、私は樫原先輩がいいな」 「……やっぱ、頭よさそうだね」 ケータイには、3人の男子が写っていた。若干ふくよかで、明るそうな男子とメガネをかけたいかにもな優等生。 花菜はもうひとりの男子に釘付けになる。 「この子……年下?」 「よくわかったねー。ひとり中学の後輩連れてくるって言ってた。なんかね、うちのガッコに入ろうと思ってて、見てみたいんだって」 「この中では一番モテそうだけどね」 美妃が早智にケータイを戻す。 短くカットされた髪に、通った鼻筋。まだあどけなさはあるが、中学ではモテるだろう。 花菜の脳裏に、あどけない、まだ小学生の少年の顔が浮かび上がる。 似てる。 まさか、そんな偶然あるわけない。 会ったのは5年前だ。変わっていて、わかるはずがない。 「……早智。この後輩の名前……わかる?」 早智がきょとんとする。 「え?名前はちょっとわかんないな。永島に聞けばすぐだよ。聞いとく?」 「なに?花菜の知ってる子だった?」 「ううん、いい。なんとなく、似てるかなって思っただけだから」 本音は、すごく気になる。 もし名前を聞いたら、向こうも理由を知りたがるだろう。 彼が自分の名前を知っているはわからない。だが、彼の母親は確実に知っているはずだ。 彼があの少年だとして、自分の事をどう説明する? 彼は花菜の顔を覚えていないだろう。一瞬だったし、あの時は彼の父親の葬儀だった。それどころではないはずだ。 どちらにしろ、会うには心の準備が必要だ。
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