第7話

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「向こうは私の事を知ってるんだよね?」 「もちろん?」 花菜は緊張した面持ちになる。 会ったことはないが、存在が疎まれれるのはやはり嫌だ。 お父さんはお母さんと別れた後、別の人とお見合い結婚したらしい。 「どう思ってるの?」 「うーん、お母さんも奥さんときちんと話した事ないしね。くわしい事はわからないけど。葬儀にはできれば花菜も連れてきてほしいって。もちろん、花菜がよければだけど」 「行きたい!」 「ほんとに?」 お母さんはほっとした表情になる。 おそらく行ってほしかったのだろう。 「あ、でも……息子さんがいるんだけど、息子さんに花菜の事をまだ知らせてないみたいで。その子には言わないでって」 「……息子?」 「そう。あなたの腹違いの弟」 お母さんが微笑む。 「いっこ下みたいよ」 どきどきした。 弟。 お父さんに会う時もどきどきしたけど、それ以上かもしれない。 どんな子だろう。 少し楽しみだった事を、後で後悔する。 自分が浅はかだった。 一回だけ会っただけの父親。 死んだって言われても、実感なんてない。 病気だから、一度でも会いたかった? 何を今さら。 いつでも会いに来れた。市内に住んでるくせに。 会いに来なかった。 お父さんに抱くのは、決してよい感情ではなかった。 だから、悲しいとかはない。 そして自分は、期待してしまったんだ。 弟とは、家族みたいになれるんじゃないかって。
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