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「……すごい!成宮、点数入れたよ?ほんとにうまいんだね」
美妃がグランドではしゃいだ声を上げた。
花菜は複雑な思いで頷く。
カッコいいのは確かで、心が踊るのと同時に、今校内にいるであろう佐倉直人が気になっていた。
早智は試合を見ないで永島クンと店をまわる事にしたようだ。
永島クンと他の彼らは別行動らしいが、合流した時の事を考えて、気を遣ってくれたのかもしれない。
会うつもりはなかったし、もし会ってしまっても、向こうは知らない可能性が高い為、知らないふりをするつもりだった。
成宮充はグランドを汗だくで走っており、素人の目から見ても明らかに活躍していた。
女子の声援もちらほらと聞かれるし、普通であれば余り関わらないタイプだと実感する。
ユニフォームで汗を拭う姿までいちいち絵になって、ちらりと見える腹筋にどきりとする。
「あ、向こうのチーム。小池先輩に交代だ」
花菜の顔が強張る。
相手チームのベンチに目をやる。
一度小池先輩を見つけた後は、意識して目を向けないようにしていた。
記憶にある先輩よりも、がっしりしていた。サッカー部で鍛えているからだろうか。
だが、先輩を見ても嫌な気分はするものの、昔のような緊張した感覚はなかった。
きっと、もう好きではないからだ。
もしかしたら、会っても普通に話せるかもしれない。
ぼーっと小池先輩を見ていたせいか、先輩がこちらを見る。
ふと目が合う。
先輩は、困ったように微笑んで、手を振った。
花菜は一瞬迷うが、お辞儀をする。
美妃は意外だという顔を向ける。
「へーき?」
「うん、自分でも意外なぐらい。というか、佐倉クンの方が気になって……」
「……確かに。ちょっとヘビーな話だよね。まさに今、異母姉弟が同じ校内にいるんだもんね」
美妃は苦笑いする。
「でもさ、先輩見ても平気なのは、やっぱり好きな人が出来たからじゃない?」
にやつく美妃に、花菜は照れ臭くなる。
「……そうかもしれないけど」
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