第7話

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先輩を見てもどきどきしない。 今なら意識しないで話せるような気がする。 「やっぱり、前の恋を忘れるには新しい恋なんだねー」 美妃はしみじみ言う。 「あ、小池先輩もやっぱうまいね」 軽快なドリブルをする先輩を見て、ごまかすように言う。 「中学の時は部長だったもんね」 「後半もあとどれくらい?今んとこウチが勝ってるよね」 花菜はケータイの時計で確認しようとケータイを開いた。 「あと……20分?早智からメールだ」 「なんだって?」 「……永島クンが、試合見に来るって。他の人も一緒に」 「まじで?!どうする?」 「うん、早いけど、もうクラスの方に行こうかな。このメール、来たのけっこう前……」 「あれー?美妃ちゃんと花菜ちゃんだ!」 永島君の声が響く。 どうして早めに気付かなかったんだろう。 見ると、男子4人と早智がこちらに向かって歩いており、早智がその後ろで申し訳ない顔をしている。 自然と佐倉直人の方に目線がいく。 あの子だ。 もちろん成長しているが、あの頃のままだ。 他の男子と話ながら試合に目をやり、時々笑う。 悲しげな、暗い表情を思い出す。 笑った顔は知らない。葬儀でしか顔を見ていないから。 「えっと、早智の友達の美妃ちゃんと花菜ちゃん」 永島君が指差しながら他の男子に紹介する。 名字言わないんだ。永島君がアバウトな人でよかった。 花菜は当たり障りなく挨拶する。 「こっちが山田で、あと阿部。で、こいつが佐倉。こいつだけ年下なんだ。多分、この高校の後輩になるからよろしくな」 若干ふくよかで社交的な彼が山田君。メガネで頭の良さそうな彼が阿部君らしい。 「みんな、かわいいね。俺ら普段男だらけだからさ、女の子いるだけで雰囲気違うよな」 山田君が笑顔をつくる。 女の子を紹介してほしいというのは、彼に違いない。 佐倉直人が苦笑する。 「先輩、がっつきすぎですよ」 どこか余裕を感じるのは、大人びた雰囲気のせいだろうか。
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