第7話

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「ごめんな、傷つけたな」 花菜は首を振る。 「私もきちんと話さなくちゃいけなかったんです。言いたい事も聞きたい事も言わずに避けて……」 あんなに嫌な思い出だったのに。 意外と冷静に話せている自分が不思議だった。 「……あの時、聞きたい事ってなんだった?」 「え?」 「んー、何となく、今なら聞ける気がして」 「あ……。私も、今なら言える気がします」 先輩がくすりと笑う。 その顔は、今でも魅力的だと思った。 「あの時、先輩の中で私って何でしたか?」 「……」 「彼女でしたか?」 あっさり、口から出る。 あの頃はどうしても言えなかった事が、こんな簡単に言えるなんて。 小池先輩は、ばつが悪そうにため息をついた。 「……俺さ、あの頃は、けっこういい加減だったから。いろんな女の子と遊んでたんだよね」 「……」 「花菜の事、慣れてなくてかわいいなって思ってたよ」 花菜は唇を噛んだ。 「今さらだけど、ごめんな」 先輩は申し訳なさそうに項垂れる。 「……あの、いい加減だったって。今は?大切な子がいるんですか?」 「……うん。彼女いるんだ」 照れたように笑う先輩を見て、ほっとする。 「よかったですね」 「ありがとな。花菜は?」 「え?」 「いるの?彼氏」 「いない……です」 「好きな奴は?」 言葉がつまる花菜に、先輩は吹き出す。 「わかりやすいな。がんばれよ」 「……はい」
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