来客 ②

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「 ありがとう、啓ちゃん 」 アンタはやっぱり優しい男だよ、と涙ぐむ。 「 あの男とは大違い。啓ちゃんの方が好きっていう読者様の方が、案外多かったりしてね 」 まさか、と啓輔が戸惑ったように笑った。 「 慎ちゃんには敵いませんよ。あの人は、優しさを上手く表現出来ないだけなんです。 スズコさんが一番良くご存知でしょう?」 私は、答える代わりに小さく口の端を上げて、ジントニックを飲み干した。 啓輔も同時に飲み干した後、カラリと氷を響かせたグラスを置き、席を立つ。 「 じゃ、僕はこれで 」 「 啓ちゃん 」 啓輔は、ゆっくりと振り返った。 「 慎ちゃんの事、頼むね 」 クスッと笑う啓輔。 「 慎ちゃんにも言われました。スズコの事、頼む、って 」 では、と爽やかな笑顔を残し、啓輔は部屋を出ていった。 慎ちゃん、何だかんだ言って、私の事好きなんじゃん。 私はククッと笑いながらスマホを手に取り、改めて表紙を見ては、ニヤニヤしていた。
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