イス回し

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出会いの季節と呼ばれるこの時期は、裏を返せば少し前まで多くの別れと終わりが散っていく花弁のように宙に舞っていた。  悲しみを乗り越え、それでも失った空間を無理やりにでも埋めようと出会いを求め、出会いを喜ぶ。  それを無意識下で行っているだけかもしれない。  と言ったものの、結局は一部に過ぎない。  浮ついているというのは本当である。  どんな子が入学したのか知りたくて、特に用事もないのに商業棟へと近づく。廊下で特に意味もなく、短い手すりに凭れてただ話しながら一年生が通るのを待つ。一か月くらいはそれが続く。  たまには無駄に商業棟に入り、用事で歩いているように見せかけて廊下を歩きながら教室を覗く生徒もいる。  入学したばかりの新入生は、慣れていないのかあまり教室から出てこない。  まあ、廊下に上級生(男子ばかり)が居れば、その前を通りたくはないあだろう。通ったとしても少し歩くのが速い。通る生徒は本当に用事があるか、自意識過剰な女子生徒ぐらいなものだろう。  廊下に意味もなく集まっていると生徒指導部の教師がやって来て、注意をされる。普段なら見て見ぬふりをしているのだが、新学期のこの時期は一応は注意をする。
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