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チラシを持った体格の良い大柄なオジサンが自分の店は「飲み放題」と言いながら客を集め、反対側では、しわ一つないスーツとワックスでビシッと決めたまだ二十代前半であろう青年が二人組の女性を必死に笑顔を崩さず勧誘している。
そんな声を横に目的の場所へと向かう。
途中、制服を着た女子高生が中年男性とホテル街へ入っていくのを見たが、これさえも見慣れてしまった。
こっちに来た事なら犯罪現場で犯人が知り合いで鉢合わせた時のような気まずさを勝手に持っていた。
(なんか、いろいろと染まった)
でも、待ち合わせの場所に戻ればきっと少しぐらいは『あの頃』に戻れる気がした。
駅から十分ほど歩いたところにある外見は古びているが中に入ってみると、まだ新しく木の匂いが微かに漂っている。最近、改装をしたらしい。
ここ最近は、あまり来る機会が少なくなっていて最後に来たのは夏草の瑞々しい香りが漂い始めた頃だったと思う。
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