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数日後、普段と変わらず椅子に座り眠っている店主の武具屋に一人の少女が訪れる。
先日の少女とは別な少女である。
そして周りの商品に目をくれず真っ直ぐ店主の元へ向かって来る。
店主は異様な気配に気付き…いや気配では無い。人の形をした人形の様な感じを受け関心が向いたと言える。
『なんの用だ?ただの客では…無いようだな』
と一言。
『あなたの力をぜひともお借りしたい。』
と少女の声をしながらも、その可愛らしい外見とは異なる台詞を言う。
『わしの力など、何も無い。こんな老いぼれの所にわざわざ来てくれた所で何にもならんよ。悪いがな。帰ってくれ』
と店主は言う。
『私が神の使いだと知ってもか』
『神だと!!……なるほどな』
店主は全てを察したようだ。
『この水晶で魔界に行ける。その意味は解ると思うがな』
とカウンターに水晶を置き少女はそのまま、店を出る。
少女が居なくなり、暫く店主は水晶をじっと眺めている。
しばし考え『行くか』と言い、先日の少女が怪我をしたナイフを手にし『ムン!!』と掛け声と共に先ほどまで錆びだらけだったナイフが研ぎ澄まされた上質なナイフにへと変化した。
そして水晶を手に取り床に叩きつける。
その瞬間から店主の姿はこの地から、いや、この世界から消えた。
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