278人が本棚に入れています
本棚に追加
そういって紫苑も脇のホルスターから拳銃を取り出して構えた。
ラブレスはどうやらキッチンの奥にあるリビングルームに退避したようだ。アクセラレータのことが知れて慎重になっているらしい。
「わたしがリードする。カキハラは援護して」
そういって紫苑は、ドアの取り払われたリビングルームを覗き込んで、引き金を三回引いた。
けたたましく火花を散らす音が鳴り、何かが床を転がった。かちあい弾だ。また銃弾同士がぶつかり合ったのだろう。
「紫苑。おまえと撃ち合ったところで無駄に弾を消費するだけだ」
と、リビングルームからラブレスの声がした。
「知ってる。だから撃つの」
紫苑がリビングルームに突入して立て続けに引き金を引くと、ラブレスもそれに合わせて引き金を引いた。すべての弾丸が二人の間で火花を散らしてぶつかり合う。
おれは紫苑に続いてリビングルームに突入し、ラブレスに拳銃を向けるが、奴はおれに気づいたようで横に飛び退き、床を転がってこちらへ発砲した。
その銃弾がおれの右足をかすめ、おれは床に倒れてしまった。
迂闊だった。
それでもおれは奴に銃口を向けて反撃をしようとする。しかし奴はおれが持つ拳銃を撃ち抜いて、おれの銃は手から離れてしまった。
それを見た紫苑が、ラブレスに向かって叫び声をあげながら何度も引き金を引く。
最初のコメントを投稿しよう!