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「なぜそのようなことをお聞きになるのですか?」
と、アジールがたずねた。余計な部分だけは敏感だ。
こいつらの人間性を考えれば不要な心配かもしれないが、もしこいつらが蛇尾會と繋がっているとしたなら下手な発言はこちらの情報を相手にもらすことになる。
「依頼主がヤバい連中と繋がってねえか気になるのは人として当然だろ。用件は以上だ。今日の報告は特にない。じゃあな」
そういっておれは電話を切った。
本当は報告すべき内容は紫苑の記憶やラブレスとの対峙諸々、それなりにあったが、ただでさえ今日は疲れているというのに、これ以上こいつらの相手をしていると神経がどうにかなってしまう。
悪いが精神衛生上、最善の措置をとらせてもらった。
まあ、もし仮にこいつらが蛇尾會と繋がっていて、その上で警察の動向を察知したとしても、蛇尾會に情報をリークするようなことはないだろう。
自分達にメリットのないことは絶対にしないような連中だ。おそらく今回の作戦でタンユが逮捕されても、面倒な知人が消えてくれた程度にしか思わないはずだ。
それどころか、どうせなら口を割らないように殺しといてくれとすらいいそうだ。
「カキハラ……顔怖い」
と、タオルで髪を拭きながらシャワールームから出てきた紫苑がいった。
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