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「あなたも作戦に参加するの?」
どうやら、デバッグ機関の連中もことの下りは知っているらしい。となると、参加するデバッガーはおれ一人だけではないようだ。
「他に誰か参加するのか?」
「ええ、剥製屋を追っていたデバッガーなら掃いて捨てるほどいるからね」
「そうか。かなり大がかりな作戦になりそうだな」
「それはそうと、あなたは作戦会議に顔を出さなくてもいいわけ?」
「作戦会議だ?」
そんなものダニングのおやっさんから聞いた覚えがない。そういえば、レイチェルに電話をかける前に何件かの着信履歴があったような気もするが。
「今頃ロス市警署でやってるはずなんだけれど、あなたもしかしてまだ部屋にいるの?」
携帯に残されていた着信履歴といい、とても嫌な予感がする。
「すまん。急用を思い出した」
俺は電話を切り、顔も洗わずに急いで支度をすませた。
紫苑はまだ寝ているようだが、こいつを署の会議につれていくのも何かと面倒だ。かといって、ただ置いていくのもまた面倒そうだから、おれはガラステーブルの上に書き置きを残してアパートを出た。
警察署へと向かうエアカーの中で着信履歴を確認すると、三件の不在着信はすべてダニングのおやっさんからだった。
一件は昨夜で、残りの二件は今朝のものだ。これは非常にまずい。
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