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手元の資料に目を通すと、どうやら剥製屋について現在確認されている情報と、蛇尾會の組織構成、それから潜入捜査官による報告が内容のほとんどを占めていた。
作戦内容のブリーフィングについては、簡単な内容が記されていたが詳細は空中ディスプレイとガーランド署長の口頭によって説明されている。
今の進行内容は突入後のものだった。もはや話についていけない。
だが、この資料だけでもおおよその察しがつく。詳しい内容は後でおやっさんにでも聞けばいい。
作戦内容はというと、剥製屋を含む人身売買を生業とした犯罪組織と蛇尾會の会合中に潜入捜査官の合図とともに突入するといった、ごくありふれたものだった。
おれ達デバッガーの役割といえば、現地で警察の人間からの細かい指示に従って動くアルバイト要員のような簡単なお仕事だ。警察からの報酬こそあるものの、早い話がお手伝い料だ。個人の業績に繋がるような内容は含まれていない。
昨今の環境悪化と犯罪増加にともなって警察組織も年々弱体化している。仕方ないといえば仕方ないのだが。
詳細を知るために潜入捜査官の報告内容をめくってみると、そこには捜査官の個人情報に顔写真が添付されていた。
エドガー・ワイズマン二十八歳。思っていたより若い。人相は犯罪組織に所属していても何ら不思議ではない顔立ちだ。だが、経歴に関しては筋金入りのエリートだったようだ。
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