幸せすぎる悩み

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今日はバイトを休んだ。昨日から体調が悪い。 40を過ぎるとどこかしら具合が悪いものなのだろうか。 昨日の晩、さんざん裕輔に嬲られたからかなりこ堪えたんだろうか。 カーテン越しに朝日が差し込む。 気持ちのいい朝なのにもったいない。 体は重く、鉛の様で意志に反して思い通りに動かない。 でも株の動向も気になるし、起きなければ・・・。 重い躰を引きずってパジャマにガウンをひっかけると、パソコンの前にやっとの思いで辿りついた。 電源を入れると瞬時に世界の株の変化が見て取れる・・・さして急落もなく穏やかに推移しているようだ・・・これならベッドに居てもノートパソコンでやれるかもしれない。 そんな事を考えていると後ろから声がした。 「航耶(こうや)、なにしてんの?寝てろよ!熱があんのに・・・」 怒った声が飛ぶ・・・これがパートナーの裕輔(ゆうすけ)。 15歳年下で今大学病院でドクターをしている。今はめっきり患者を見る事は無くなって研究と論文に明け暮れる日々だ。 「今日はラボにいかなかったのか?」 「置いて行けるわけないでしょ!アンタこうやって無理ばっかりするんだから」 「いい大人なんだから、心配しなくていいよ」 「だったら大人しく人に心配かけないでくれる?」 「それはお前が昨夜散々・・・///」 ここまで言って口をつぐんだ。昨日の情事が頭の中によみがえって気恥かしくなったのだ。 「アンタがエロい態度で誘うから悪いんだ!」 「誰が誘うかっ!///」 そう・・・パートナーとはこういう関係。ゲイカップルなのだ。 ここアメリカではそう珍しい事ではない。アメリカで一緒に暮らし始めて10年近い。 日本にいる時は隠したり、後ろめたい気持ちで生きていたが、アメリカに来てからは夫婦として穏やかで偽ることのない暮らしが出来ていた。 この前日、サンフランシスコで二人だけの結婚式をした。再会して12年になる。その時はまだ高校生だった。 昔、彼が小学生の頃、バイトでしていた塾の生徒だった。 再会したのは偶然。彼の父親が銀行員の融資課長だった頃のお得意様で、彼の父親の会社でスレ違ったことから始まった。 小学生だったかわいい彼はすっかりいい青年になっていた。 そのまま自宅に押し掛けられて現在まで・・・押し掛け女房だと裕輔は言うが、どちらかと言えばオレが女房だよな、と思ったりする。
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