幸せすぎる悩み

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15歳の年の差、裕輔はバスケットボール選手だったので185cmはある長身。ベビーフェイスで今でもバーで身分証明書の提示を求められるほど若く見える。 それに比べ45歳の自分は・・・もともとゲイだし、今の暮らしはもったいないほど幸せだ。でも若い裕輔は18歳で自分を選んでしまって良かったのだろうかと今も悩む。 現在30歳。今の裕輔ならまだやり直せるのでは・・・と毎日胸が締め付けられる。 年下で自分しか知らない裕輔がゲイだとは思えない。 もし彼自身が同性愛者じゃなければ女性と結婚して家庭が持てるの道もあるのだ。 結婚式をする事にも悩んでずっと先延ばしにしてきた。 10年いても裕輔の気持が変わらなかったから・・・けじめとして結婚式をしたのだ。 もちろん日本では認められていない。アメリカでもどの州でもいいということにはならない。自分にそんなに蓄えがあるわけではないけれど、配偶者としての権利を主張できるようにしてやりたいと思った。 「今日は気晴らしにバスケでもと思ったけど、航耶がこれじゃあなぁ~」 「バスケやってこいよ。体がなまるぞ」 「こっちの連中には全く歯が立たないよ。それより体温計見せて」 「ん・・・」 「まだ37.8℃あるじゃん」 「お前とは体力が違うんだ」 「じゃあ今日は俺が抱っこして寝てあげるよ」 「バーカ!風邪がうつるだろうが・・・自分の部屋に行け!」 「やだよ。体力あるって航耶が言ったんだからな。うつらないよ」 その後も気だるさと微熱は続いたまま・・・なかなか治る気配がなかった。
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