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その台詞に小首を傾げると、傍らに置いてあった、ミカン味の水が入ったペットボトルを口に含み、俺の後頭部に手を回して、そっと唇を合わせた。
甘い水が口の中に流れ終わっても、唇が離されることはなく、むしろ強く強く貪るような、激しいキスになっていく。
「ん……ダメ、つ、翼……」
「どうした? 辛くなっちまったか? ごめん……」
「そうじゃないんだ。むしろ、俺的には嬉しいんだけど」
ああ、申し訳なくて、すっごく言いにくい。
「何だよ?」
「えっと、俺の風邪……インフルエンザA型なんだ」
「おいおい、そんなオチありかよ。まったく……」
呆れ返った翼が、俺の頭をチョップした。
「うう……ホントごめんね。翼が寝込んだら、ちゃんとお見舞いに行くから」
「当たり前だ! きっと、重くなるに違いないからな。マサからの感染だから間違いなく、変な菌が混ざってるだろ?」
何だよ、恋人をバイ菌扱いするなんて。ちょっと酷いんじゃないか!?
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