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紗枝のために、
この病気で苦しんでいる
全ての患者のために…。
そして苦しい程に
紗枝を愛していながらも
彼女の幸せを何よりも
大切にしてくれた…
飯野さんのためにも
俺は必ず生き抜いてみせる。
「手術室に移動するぞ」
覚悟はいいかと言わんばかりの
表情で俺に声を掛けた
松田先生に力強く頷く俺。
「紗枝ちゃんまだ来てないけど
ちゃんと連絡したのか?」
「ああ、LINEで送った。
でも紗枝は仕事だから
週末まで来られないと思うよ」
「そうか」
ベッドごと手術室へと
運ばれながら静かに目を閉じ
俺は紗枝との未来を
瞼に浮かべて微笑んだ。
もうじき…
俺の新たな人生が始まる…。
そう信じながら。
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