2126人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「いつから引っ越されますか?」
不動産屋さんの質問に
私は穏やかに笑みを
浮かべながら答えた。
「来週からお願いします」
最後にもう一度だけ、
移植を受けた聖に
伝えたい言葉がある。
それを伝えたら…
私はもう思い残す事は
きっとなくなるから。
そしてこの地で…
亡くなった両親のお墓を
守りながら穏やかに
暮らして行けたら
それで本望だ。
もう一度見つめた窓には
真夏の灼熱の太陽が
照りつけている。
そろそろ聖のオペは
始まったかな…。
眩しすぎる太陽に
そっと手を合わせ
私は祈った。
神様…
どうか、聖を…
お守りください…。
最初のコメントを投稿しよう!