言えない言葉

13/17
前へ
/37ページ
次へ
7階でエレベーターを降り 無菌室の隣の部屋で 除菌を受けてから マスクをして彼の病室へと 足を進めた。 ベッドに横たわる聖は 高熱のせいなのか 真っ赤な顔で眠っている。 「浅い眠りみたいで 時々目を覚ますから。 その時に声掛けてあげて」 松田先生に言われて 私はコクリと頷いた。 もうここまで来たら さすがに覚悟は出来ている。 …私は彼に自分の思いの 全てを告げなくてはならない。 最後まで泣かずに言えるかな。 そんな事を思いながら 眠っている彼の手を ぎゅっと握りしめた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2126人が本棚に入れています
本棚に追加