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「あのね聖…。
私…妊娠してなかった」
「…え?」
「お腹にアテナ…
いなかったみたい…」
呆然としている彼は
この言葉の意味が
本当に理解出来ているのか
分からないけれど…
それでも私は伝えなくては
ならない言葉がある。
「だけどね、聖。
私はあなたと出逢って
変われたの。
あなたが移植を受けてくれた
一番の理由が私じゃなくても
私はあなたを愛して
女としての幸せを
一時だけでも知る事が出来た。
だから…
聖には本当に感謝してるの。
…ありがとう」
けれどうつろな瞳は
じっと私を見つめたまま
何も語ろうとしない。
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